
性感染症に感染した際に最初にイメージするのが性器やその周辺に「ぶつぶつ」ができることではないでしょうか。しかし、すべてのぶつぶつが性病とは限りません。今回は、性病が原因のぶつぶつと、それ以外の可能性について、医師監修のもとで丁寧に解説します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)6型や11型など
感染から数週間~数ヶ月の潜伏期間を経て、性器や肛門のまわりにやわらかい小さなイボができはじめ、次第にカリフラワー状やトサカ状に広がることがあります。
色は肌色から淡紅色で、痛みやかゆみなどの自覚症状がないことも多いため、気づかずに進行してしまうケースも少なくありません。
男女ともに外陰部や肛門、女性では腟や子宮頸部にも発生することがあります。
見た目がフォアダイスや真珠様小丘疹などの生理的なぶつぶつと似ているため、自己判断では区別がつきにくいのが特徴です。
単純ヘルペスウイルス(HSV)
感染初期には、性器や肛門周辺に水ぶくれのようなぶつぶつが現れ、それが破れて痛みを伴う潰瘍になります。
特に初めて感染した場合には、強い痛みや発熱、リンパ節の腫れといった全身症状が出ることもあります。一度感染するとウイルスは体内に潜伏し、疲れやストレスなどをきっかけに再発することがあります。
外陰部、肛門、口唇、臀部など
症状が軽い場合でも感染力をもっているため、注意が必要です。
梅毒トレポネーマ(細菌)
進行段階によって症状が異なります。感染初期には性器や肛門、口唇などに痛みのないしこりや潰瘍ができ、その後しばらくすると自然に消えることがあります。
しかしこれは治ったわけではなく、放置すると体中に赤い発疹が現れる「第2期梅毒」へと進行することがあります。発疹は手のひらや足の裏、さらには口の中にも現れ、かゆみや痛みはほとんど感じられないため見逃されがちです。
進行すると全身の臓器に深刻な障害を及ぼすことがあるため、早期の発見と治療が重要です。
疾患名 | ウイルス・菌 | 主な症状・見た目 | 発症部位 |
---|---|---|---|
尖圭コンジローマ | ヒトパピローマウイルス(HPV)6・11型 | ・やわらかく小さなイボ ・カリフラワー状・トサカ状に広がることも ・色は肌色から淡紅色 |
男女:外陰部や肛門 女性:腟や子宮頸部 |
性器ヘルペス | 単純ヘルペスウイルス(HSV) | ・水ぶくれ。破れると痛みを伴う潰瘍に ・疲れやストレスなどで再発 |
外陰部、肛門、口唇、臀部など |
梅毒 | 梅毒トレポネーマ(細菌) | ・初期:痛みのないしこりや潰瘍 ・第2期:体中に赤い発疹 |
・初期:性器・肛門、口唇など ・第2期:体中(手のひら、足の裏、口の中) |
性器にできるぶつぶつのすべてが性病というわけではありません。生理現象として自然に存在するものや、ウイルスや細菌による皮膚の炎症など、心配のないケースも多くあります。
毛穴に細菌が入り込んで炎症を起こす状態
赤く腫れたニキビのようなぶつぶつ。痛みやかゆみを伴うこともあり。
陰部や太ももの内側など摩擦の多い部位によく見られる。
軽度であれば自然に治ることがほとんど。
皮脂の分泌やホルモンの影響でできるもの
白や赤く小さなぶつぶつとして現れる
特別な治療は不要なことが多く、清潔を保つことで改善します。
ポックスウイルスの一種
半透明で中央が少しくぼんだ光沢のあるいぼが数個~多数出現。
自然に治癒することが多いものの、皮膚同士の接触などで感染を広げてしまうため、摘除が勧められる場合もあります。
皮脂腺が目立って見えるもの。白〜黄白色の小さな粒が性器の皮膚に点在。
病気ではなく、生理的な現象のひとつで治療の必要はありません。
男性器の陰茎のカリ首に沿って小さな乳白色の粒が並ぶ状態
生理現象のひとつ。性病と勘違いされやすいですが、感染力はなく、自然に消えることもあります。
これらの症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。
症状のある方は、泌尿器科、産婦人科、皮膚科、または性感染症専門のクリニックを受診し、適切な診断と治療を受けることが必要です。
性感染症は、見た目だけでは判断が難しく、また症状が出ていない場合でも感染力があることが多くあります。そのため、症状の有無にかかわらず、定期的な検査がとても大切です。ペアライフクリニックでは、匿名での検査や完全個室の診察環境を整えており、人目を気にせずに安心してご相談いただけます。
性器に現れるぶつぶつには、性感染症が原因のものもあれば、生理的な変化や皮膚のトラブルによるものもあります。見た目だけで正確に見分けることは難しいため、少しでも不安がある場合は早めに専門の医療機関に相談しましょう。
自己判断せず、安心できる環境で早期発見・早期治療を心がけることが、ご自身と大切なパートナーを守ることにつながります。
医師。東京工業大学在籍後、直接人の役に立ちたいと医学の道を志し、2012年に日本医科大学医学部に入学。2018年に同大学卒業。医師免許取得後、会津中央病院での臨床研修を経て、日本医科大学武蔵小杉病院勤務で泌尿器科を学ぶ。その後、水道橋スクエアクリニック勤務で皮膚科診療を経験し、2024年より皮膚・泌尿器科領域での性感染症内科ペアライフクリニック勤務。現在に至る。
横浜院/渋谷院/名古屋院/札幌院/大阪梅田院(2025/6/14開院)
性感染症専門の医療機関。相談しづらい性の悩みに寄り添って、「プライバシーへの配慮」「専門性の高さ」「通いやすさ」を追求した診療をおこなっている。院内はプライバシーを配慮した動線、完全個室の待合室など、安心して来院できる環境。